今年(2025年)、8月15日で、太平洋戦争の終戦からちょうど80年を迎える。長い年月が流れ、戦争を直接知る世代はほとんどいなくなってきた。それでも、あの戦争が私たちに残した教えは、今も確かに生きているはずだ。
「当時、欧米の強い国々がアジアの国々を力で支配し、植民地にしていた。それに対抗するために日本は立ち上がったのだ。だから、日本は悪くない。日本を悪く言うような教育はやめるべきだ」――こうした考えを持つ人や、そう語る政治家がいる。
たしかに、当時の世界に欧米の国々による厳しい支配があったのは事実だ。日本がその中で強い不安や危機感を抱いていたことも理解できる。
しかしその一方で、日本が戦争への道を進んでいった中で、当時の政府や軍の上の立場の人たちが、国民に自由に意見を言う場を与えず、反対する声を押さえつけ、戦争へと国全体を巻き込んでいったことも、忘れてはならない大切な事実である。
日本は中国やアジアの他の国に対して攻め入り、多くの命を奪い、現地の人々の暮らしを壊した。また国内でも、空襲や食糧不足に苦しんだ人たちがたくさんいた。日本が被害を受けた面だけでなく、他国に与えた苦しみについても、私たちはきちんと目を向けなければならない。
歴史は、白か黒か、正しいか間違っているかだけで決められるものではない。だからこそ、ひとつの見方にとらわれず、当時の時代の空気や国民の苦しみ、そして何より命を失った多くの人たちのことを思いながら、考え続ける必要がある。過去の失敗や悲劇をしっかりと見つめ、そこから学び続けること――それこそが、平和を守る土台になるはずだ。
戦争を知らない世代がほとんどになった今だからこそ、記憶が薄れていくのに逆らいながら、歴史とまっすぐ向き合うことが求められている。
もう二度と、あのような過ちをくり返さないために。
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